民法第4条(成年)の条文

第4条(成年)

年齢18歳をもって、成年とする。




民法第4条(成年)の解説

趣旨:年齢により一律に行為能力者となる

本条は、成年の定義を規定した条項です。

民法上は、18歳になると成年となり、成年者として扱われます。

これに対し、18歳未満の者は未成年者として扱われます。

本条では、発達の度合いや、物事への認識の能力などではなく、年齢により一律に成年者=行為能力者とすることで、法律行為の決定について安定化しています。

未成年者の概要

未成年者の概要
定義18歳未満の成年でない者
単独でできない行為原則としてすべての行為(例外に該当しないすべての行為)
単独でできる行為
  1. 「単に権利を得、又は義務を免れる法律行為」(民法第5条第1項ただし書き
  2. 「法定代理人が目的を定めて処分を許した財産」の処分(民法第5条第2項
  3. 許可を受けた営業に関する行為(民法第6条第1項
  4. 子の認知(民法第780条)
  5. 認知の訴え(民法第787条)
  6. 氏の変更(民法第791条)
  7. 遺言による財産の処分(民法第961条、民法第962条。ただし、15歳以上に限る)
単独行為の効果取消し得る(民法第5条第2項
単独行為の取消権者
  1. 未成年者本人
  2. 法定代理人(親権者または未成年後見人)
  3. 承継人
主な保護者
  1. 親権者(民法第818条、民法第819条)
  2. 未成年後見人(民法第838条第1項)
保護者の権限
  1. 代理権
  2. 同意権
  3. 追認権
  4. 取消権
補足




成年に関する補足

成年になると法律行為の制限が無くなる

人間(=私人)は、18歳になることによって、何の制限も無く、自由に法律行為をおこなうことができます。

【意味・定義】法律行為とは?

法律行為とは、行為者が法律上の一定の効果を生じさせようと意図して意思表示をおこない、意図したとおりに結果が生じる行為をいう。

例えば、一人で契約を結ぶこともできるようになります。

成年になると保護も無くなる

逆にいえば、未成年者は、自由に完全な法律行為ができないように一定の制限が加えられています(第5条第1項参照)。

こうした制限は、単に未成年者を制限するのではなく、その制限=不完全な法律行為の取消しなどにより、未成年者を保護するための制度でもあります。

つまり、成年になることで、制限が無くなるとともに、民法による一定の保護も無くなります。

なお、こうした制限がかけられた者を制限行為能力者といいます。

【意味・定義】制限行為能力者とは?

制限行為能力者とは、行為能力が制限される「(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第17条第1項の審判を受けた被補助人」(第13条第1項第10号)をいう。

結婚した場合は未成年者でも成年者として扱われる

例外として、未成年者であっても、結婚した場合は、成年としてみなされます(第753条)。

これは、たとえその後に離婚したとしても同様です。




用語の定義

成年者とは?

【意味・定義】成年者とは?

成年者とは、成年となった者をいう。

未成年者とは?

【意味・定義】未成年者とは?

未成年者とは、18歳未満の成年でない者をいう。




改正情報等

新旧対照表

民法第4条(成年)新旧対照表
改正法旧法

改正民法第4条(成年)

年齢18歳をもって、成年とする。

旧民法第4条(成年)

年齢20歳をもって、成年とする。

本条は、平成30年改正民法(2022年4月1日施行)により、以上のように改正されました。

改正情報

平成30年(2018年)改正民法により成年年齢を18歳に引き下げ

平成30年6月13日成立した改正民法により、成年年齢が20歳から18歳に引き下げになりました。

また、この改正法は、2022年4月1日に施行されました。

参照:法務省:民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)について

この改正法の施行により、旧法では未成年者として保護される18歳および19歳の者は、未成年者としての保護を受けられなくなりました。

成年年齢が18歳に引き下げられた理由は?

成年年齢が18歳に引き下げられた理由は、主に次の2点です。

成年年齢が18歳に引き下げられた理由
  • 憲法改正国民投票の投票権年齢や公職選挙法の選挙権年齢などが18歳と定められたことにより、憲法改正や選挙などの重要な決定権が18歳の時点で付与されるようになったから。
  • 世界の国では18歳を成年として扱うことが一般的だから。

改正消費者契約省により保護される

これに関連して、平成30年6月8日成立した改正消費者契約法により、「社会生活上の経験が乏しい」者が保護されるようになりました。

この改正法は、平成31年6月15日から施行されています。

参照:消費者契約法の一部を改正する法律(平成30年法律第54号)|消費者庁




契約実務における注意点

本条は、成年の定義を規定しただけの条項ですから、直接契約実務にかかわってくることはありません。

なお、原則として法律行為を常に取り消しうる未成年者との契約は、極めてハイリスクな契約です(第5条第2項参照)。

特に、未成年者の消費者を対象としているビジネスでの契約には、細心の注意が必要です。

注意すべき契約書

  • 未成年者と取り交わす契約書全般
  • 未成年者を対象としたホームページ・ウェブサービス・アプリ等の利用規約




民法第4条(成年)に関するよくある質問

民法第4条(成年)はどのような規定ですか?
民法第4条(成年)は、成年の定義について規定した条項です。
成年年齢が18歳に引き下げられた理由を教えてください。
成年年齢が18歳に引き下げられた理由は、次の2つです。

  • 憲法改正国民投票の投票権年齢や公職選挙法の選挙権年齢などが18歳と定められたことにより、憲法改正や選挙などの重要な決定権が18歳の時点で付与されるようになったから。
  • 世界の国では18歳を成年として扱うことが一般的だから。