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民法条文解説

民法第109条(代理権授与の表示による表見代理)

本頁では、民法第109条(代理権授与の表示による表見代理)について解説しています。

民法第109条(代理権授与の表示による表見代理)の条文

第109条(代理権授与の表示による表見代理)

第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。

民法第109条(代理権授与の表示による表見代理)解説

趣旨

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本条は、表見代理のうち、代理権授与の表示による表見代理について規定しています。

第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者、つまり、代理権の授与を表示した本人は、その表示した代理権の範囲内において、代理人が第三者との間でおこなった行為について、責任を負わなくてはなりません。

ただし、第三者(=その行為の相手方)が、その代理人が代理権を与えられていないことを知っていたか、または不注意によって知らなかったときは、その責任を免れることができます。

本条のような表見代理を「代理権付与表示による表見代理」といいます。

なお、「代理権を与えた」という表現から、本条は、任意代理にしか適用されず、法定代理には適用されません(大審院判決明治39年5月17日)。

代理権を与えた旨の表示

本条における「代理権を与えた旨」の表示は、判例によると、かなり広く解釈されています。具体的には、次のような行為をいいます。

  1. 会社の名義・部署名等の使用の許諾(大審院判決昭和4年5月3日、大審院判決昭和5年5月6日、最高裁判決昭和35年10月21日)
  2. 白紙委任状の交付(大審院判決昭和6年11月24日、最高裁判決昭和42年11月10日、最高裁判決昭和45年7月28日)
  3. 印鑑の使用(最高裁判決昭和32年2月7日)

これに対し、次のような行為は、「代理権を与えた旨」の表示にはなりません。

  1. 看板の掲示(大審院判決昭和8年7月4日)
  2. 施設内における部署名の掲示(最高裁判決昭和40年2月19日)
  3. 表見代理人による第三者に対する白紙委任状の交付(最高裁判決昭和39年5月23日)

第三者とは

本条における「第三者」とは、実際に「代理権を与えた旨を」表示された者をいいます。

この点について、この代理権の表示が特定の者にのみ対してなされた場合にあってはその者、不特定多数の者に対してなされた場合にあってはその表示を信じた者ということになります。

また、この第三者には、本条ただし書きにより、善意・無過失が要求されます。

責任を負うとは

本条において、「責任を負う」とは、代理権を与えた旨を表示された第三者に対して、表見代理人の行為が本来代理権が与えられていない無権代理であるという主張ができない、ということです。

つまり、表見代理人がおこなった行為は、本人にその効果が帰属します。これは、単に義務だけが帰属するのではなく、権利も帰属します。

なお、当然ながら、表見代理人に対しては、責任の追求ができます。

契約実務における注意点

代理権を付与する側の本人にとってみれば、本条は、非常に厄介な条文です。というのも、与えてもいない代理権を、ついうっかりでも第三者に対して表示してしまうと、その表示について責任を負う可能性があります。

事業者間の取引の場合、会社の商号や支店の名義などの使用許諾は、本条に該当する可能性があります。特に、代理店契約のように、代理店に対して、ブランドの一部として会社の名義の使用許諾をする場合などは、注意を要します。

ネームバリューがある商号の会社の場合は、ブランドの一部としてその商号の使用許諾を求められることがあるかもしれませんが、登録商標などとは違って、商号の使用許諾の場合は、本条が適用されるリスクがあります。

他方、表見代理人を相手方となった場合、本人からの代理権が示されたときは、本条により、安心できる条文といえます。

しかしながら、そうであっても、委任状でしっかりと代理権の確認をしておく必要がります。このような確認を怠ると、本条但書きの「過失」と判断され、その結果、本条による保護を受けることができなくなる可能性もあります。

注意すべき契約書

  • 代理店契約書
  • 営業代行契約書
  • 委任状

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最終更新日2011年10月10日