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民法条文解説

民法第110条(権限外の行為の表見代理)

本頁では、民法第110条(権限外の行為の表見代理)について解説しています。

民法第110条(権限外の行為の表見代理)の条文

第110条(権限外の行為の表見代理)

前条本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。

民法第110条(権限外の行為の表見代理)解説

趣旨

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本条は、表見代理のうち、権限外の行為の表見代理について規定しています。

代理人がその権限外の行為をした場合、つまり、越権行為をおこなった場合に、その越権行為の相手方が正当な理由によって代理人に権限があると信じたときは、第109条と同じように、本人は、代理人が第三者との間でおこなった行為について、責任を負わなくてはなりません。

本条のような表見代理を「権限踰越による表見代理」といいます。

要件1 権限踰越があること

本条の要件のひとつは、代理権があり、かつその代理権の権限を踰越した行為=越権行為があることです。

本条は、代理権があることが前提の規定です。このため、まったく代理権がない者がした行為には適用されません(大審院判決大正2年6月25日)。

また、代理権があれば、その権限外の行為が代理権と関係がない場合であっても、本条は適用されます(大審院判決昭和5年10月12日)。

なお、実際にどのような越権行為に本条が適用されるかについては、様々な判例がありますが、画一的な基準は示されていません。このため、個別の事情によって判断されます。

要件2 権限があると信ずべき正当な理由があること

本条における「正当な理由」の解釈については、判例の変遷により、「第三者が代理権があると信じたことが過失とはいえない場合」とされていました(最高裁判決昭和44年6月24日)。

なお、実際にどのような場合に正当な理由があると判断されるかについては、様々な判例がありますが、画一的な基準は示されていません。このため、個別の事情によって判断されます。

本人側の事情について

本条の「正当な理由」については、必ずしも本人の作為または不作為にもとづくものであることを要しません(最高裁判決昭和34年2月5日)。

また、本人の責任は本人に過失のあることを要件とするものではありません(最高裁判決昭和34年2月5日)。

第109条の準用について

前条=第109条を準用するということは、本人は、表見代理人の越権行為について、責任を負わなくてはなりません。

これは、越権行為の第三者に対して、表見代理人の行為が本来代理権の権限外の行為=無権代理であるという主張ができない、ということです。

つまり、表見代理人がおこなった行為は、本人にその効果が帰属します。これは、単に義務だけが帰属するのではなく、権利も帰属します。

なお、当然ながら、表見代理人に対しては、責任の追求ができます。

契約実務における注意点

本条は、表見代理人の取引の相手方を保護する趣旨から規定されています。このため、表見代理人を選任した本人は、必ずしも保護されません。

特に、すでに述べたとおり、本条が適用される要件としては、本人に過失があることは要求されません。つまり、本人に過失がない場合であっても、本条は適用されます。

このような事情があるため、越権行為をおこなような者を選ばないように、代理人の選任は特に慎重におこなわなければなりません。

他方、表見代理人を相手方となった場合、本人からの代理権が示されたときは、本条により、安心できる条文といえます。

しかしながら、そうであっても、委任状でしっかりと代理権の確認をしておく必要がります。

というのも、過去の判例では、表見代理人の相手方が本人に対する代理権の確認をするべきであるという判示があるからです(最高裁判決第37年3月17日、最高裁判決第42年11月30日、最高裁判決51年6月25日)。

注意すべき契約書

  • 代理人との委任契約書
  • 委任状

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最終更新日2011年10月10日