民法第122条(取り消すことができる行為の追認)の条文
第122条(取り消すことができる行為の追認)
取り消すことができる行為は、第120条に規定する者が追認したときは、以後、取り消すことができない。ただし、追認によって第三者の権利を害することはできない。
民法第122条(取り消すことができる行為の追認)の解説
趣旨
本条は、取り消すことができる行為の追認について規定しています。
取り消すことができる行為(第120条第1項参照)は、第120条第1項および第120条第2項に規定する者が追認してしまうと、それ以後、取り消すことができません。
追認は、言い換えれば「取消権の放棄」です。このため、一度追認してしまうと、その行為は確定してしまい、二度と取り消すことができません。
用語の定義
取消しとは?
改正情報等
新旧対照表
民法第122条(取り消すことができる行為の追認)新旧対照表 | |
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改正法 | 旧法 |
改正民法第122条(取り消すことができる行為の追認) 取り消すことができる行為は、第120条に規定する者が追認したときは、以後、取り消すことができない。 | 旧民法第122条(取り消すことができる行為の追認) 取り消すことができる行為は、第120条に規定する者が追認したときは、以後、取り消すことができない。ただし、追認によって第三者の権利を害することはできない。 |
本条は、平成29年改正民法(2020年4月1日施行)により、以上のように改正されました。
改正情報
本条の改正では、ただし書きが削除されました。
旧民法第122条ただし書では、追認による第三者の権利侵害ができない旨が規定されていました。
しかしながら、追認により追認し得る行為の有効性が確定したとしても、第三者の権利を害することはあり得ないものと考えられてきました。
このため、このただし書きは削除されました。
契約実務における注意点
契約実務においては、そもそも相手方による取消しができるような契約を結ぶべきではありません。
できれば、最初から追認を求める必要がないように、確定的に契約を結ぶことができる者(例:制限行為能力者の法定代理人)を相手にして契約を結ぶべきです。
しかしながら、やむを得ず相手方による取消しができる契約を結んでしまった場合は、本条にもとづく追認を受けることも検討しなければなりません。
追認は、本条の「以後、取り消すことができない。」という効果を得るためのものです。
注意すべき契約書
- 制限行為能力者が結んだ契約の契約書
- 詐欺や強迫で結んでしまった契約の契約書